SP-LATCH法 - Labs : IA wiki

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SP-LATCH法は、LATCH法の補完バージョンである。

LATCH法とは

(SP-LATCH法の原案となった)LATCH法とは、リチャード・ソール・ワーマン(Richard Saul Wurman)の「それは「情報」ではない。―無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン」という書籍の中で、情報を整理する5つの方法として紹介されている。LATCHとも。

  1. Location(ロケーション:位置)
  2. Alphabet(アルファベット)
  3. Time(タイム:時間)
  4. Category(カテゴリー)
  5. Hierarchy(ヒエラルキー:連続量)

以上、5つの頭文字を取って「らっち」と読む。

大雑把な理論なので賛否両論あるが、情報を整理するツールとしては、たいへんに優秀で使いやすい。

同様の整理法でPMEST法というものがあるが、いささか古典的であり実用性に欠ける。

SP-LATCH法とは

SP-LATCH法は、LATCH法の独自拡張版である。

従来のLATCHの冒頭に、LATCH法では言及されていなかったStoryと頻出するPeopleの二つを追加し、あわせて7つの整理法をまとめた。

  1. Story(ストーリー)
  2. People(ピープル)


用法

情報設計の現場では、SP-LATCH法を定規のように使う。

ある情報の総体を分析し、その表現方法を考案する際に、さまざまな粒度で活用できる便利な思考ツールである。

具体例

ある写真家のギャラリーサイトを設計するとしよう。写真家の撮った作品をできるだけ多くの人に、魅力的に見せるにはどうしたらよいかを考えるとき、写真の並べ方や分類方法を設計する必要があることに気がつくはずだ。以下に設計案を書き出してみる。

  1. 撮影日時順・時系列(Time)→記事のソート順。カレンダーのフォーマットにするなど。
  2. 種類別分類(Category)→あらかじめ設定しておいたカテゴリーに分類したり並べたり。
  3. 人気順・ランキング(Hierarchy)→アクセス数や「いいね!」が多い順などでソートする。
  4. 撮影場所マッピング→地図にプロットするなど。
  5. タイトル順・索引(Alphabet)→索引として機能する。
  6. モデル分類(People)→撮影対象による分類。
  7. 小説のような文脈にそって見せる(Story)→コラムや旅行記風に。

このようにSP-LATCH法は、情報の総体をさまざまな切り口から分析し、並べ方を考案するテンプレートとなる。

Story

Storyは、SP-LATCH法の第一整理要素。(オリジナルのLATCH法には含まれない)

物語・文脈などでの情報整理法のこと。「第一章、第二章・・・」や「前編・中編・後編・完結編」など。序列を持つ。

他の整理要素とは違い、情報自体が持っている性質をソートしたものではなく、編集者が自由に並びを決める点が特異である。

Timeと似ているが、物語の進行は必ずしも時系列でないので分けて考える必要がある。

古来より「起承転結」や「序破急」、「前編・中編・後編」などのStoryテンプレートが存在する。エピローグ・プロローグ、前書き・後書き、閑話休題などの主に小説や物語で活用される技法も覚えておいた方がよい。

代表的な媒体

小説をはじめとする物語系の書籍全般、チュートリアル・ウィザード・手順など

小説は、ほとんどStroy

小説をはじめ書籍やマンガ、映画などの文脈を取り扱うものは、ほとんどStroyを軸に設計されている。

チュートリアルはStory

体系的な説明を順序立てて行うということは、Stroyである。

People

Peopleは、SP-LATCH法の第二整理要素。(オリジナルのLATCH法には含まれない)

人・人物・人格による整理・分類方法。People自体は序列を持たないが、多くの場合Alphabetと組み合わせて使用する。

究極的にはCategoryに属する整理法である。分類の意味を人・人物に特化させたものをPeopleとして区別している。

代表的な媒体

アドレス帳、列伝、FacebookやMixiなどのSNSサービス、ユーザー権限など。

紀伝体における「列伝」

紀伝体とは、国や人物を軸として書かれる歴史書の形式。逆に時系列順に編纂されたものは編年体という。

紀伝体の中の「列伝」は、個々の人物を軸にして編集されている。


Macの写真管理ソフトでの活用例

iPhotoには「人々:People」という「写真に写っている人を解析する機能」が実装されている。

Location

Locationは、SP-LATCH法の第三整理要素。

場所・位置・空間・部位での情報整理法のこと。

出所の違う情報や、別々の地域からもたらされた情報を比較調査したいとき、位置はもっとも自然な選択となる。

たとえば、特定の産業について調査していて、それが世界でどのように分布しているかを知りたいときなどがこれに当たる。

医者は、薬の研究をするとき、人間の体を部分ごとに分けて行う(中国の病院では、診察室にマネキン人形がおいてあり、医師はそれを使って、患者に、体のどの部分に痛みや問題があるのかを説明している)

オリジナルのLATCH法では、平面的な概念であったようだが、当サイトでは「空間(高さ)」に関するものを含めて定義している。


代表的な媒体

地図、都道府県一覧、人体図、見取り図など。


Alphabet

Alphabetは、SP-LATCH法の第四整理要素。

五十音順、アルファベットなど一般的な序列概念による情報整理法のこと。序列を持つ。

この方法は、非常に数の多い情報の分類に適している。

辞書の見出し語や、電話帳の個人名などがこれに当たる。

アルファベット二十六文字の順番は誰でも知っているので、情報を受け取る相手が不特定多数で、文屋弥一などの分類がしにくい場合に便利だ。

オリジナルのLATCH法ではアルファベットのみ定義されていたが、日本語圏では五十音順が主流であるため類するものを含めて定義している。

  1. アルファベット。全26文字。適度な項目数で使いやすい。英語圏では大人気。
  2. 五十音順(あいう、いろは、アイウ)。日本語圏ではこちら。50項目もあるので使いやすいとは言いがたい。日本語で索引を作ろうとするとアルファベット、五十音(カタカナ、ひらがな)、漢字などインデックス項目が膨大になる。
  3. 数字(1,2,3,4・・・、一,二,三,四)。アラビア数字・漢数字も含まれる。数字はもっとも原始的な人類共通の序列概念である。


漢字をAlphabet的に使用できるか

漢字は一般的認知を得た明確な序列を持たないため、原則的にAlphabet的に使用することができない。よって漢字(漢数字以外)で序列を行う場合は、いったん表音文字的に変換することになる。

  1. 倉橋
  2. 田中
  3. 高橋
  4. 前田

↓「漢字」で無理やりソートすると

  1. 田中(田→デン→den)
  2. 高橋(高→こう→kou)
  3. 倉橋(倉→そう→sou)
  4. 前田(前→ぜん→zen)

先頭の漢字を音読し、その頭文字をアルファベットや50音に置き換えている。iOSや一部のWikiシステムでこの方法を採用しているが、分かりにくいことこの上ない。別の情報整理の方法を探したほうが賢明だろう。

代表的な媒体

辞書、辞典、電話帳、出席番号。

Time

Timeは、SP-LATCH法の第五整理要素。

時間・時間軸・時系列での情報整理法のこと。(強力な)序列を持つ。

会議などのように、決められた時間内に行うイベントの方針を決めるときには、時間による分類方法が一番だ。また、日記のように、時間の流れを上手に使ってものごとを分類することもできる。(中略)時間は、ものごとの変化がよくわかる分類の基準だ。情報の比較もしやすい。

年・月・週・日・時間(hours)・分・秒など。他にも世紀、千年紀(ミレニアム)、刻、旬などの単位がある。

カレンダー、年表、スケジュール表、タイムラインなど。古くは編年体という形式にさかのぼる。

国や地域、文脈によって様々な表記や方言があり、かなり複雑である。

正確な絶対日時を表記する場合はUTCを基準とする。


代表的な媒体

時計、カレンダー、タイムライン、年表、テレビ欄など


標準時・時差

Web媒体で時間を表現する場合、時差は明記しておいたほうがいい。特にモニタリングやセンシングなど時刻に特別な意味がある場合は、明記すること。

逆に日本語で書かれたブログにおいて、グリニッジ標準時の「UTC+9」が暗黙の了解となるためわざわざ絶対時間を書くことは少ない。

日時表記の規格

"YYYY-MM-DD"方式が事実上の世界標準であるが、国や地域によってさまざまである。(Wikipedia:日付の項目が詳しい)

  • 平成26年(=西暦2014年):和暦
  • 皇紀2674年(=西暦2014年):皇紀
  • August 20, 2014(=2014-08-20):アメリカ式 略式
  • 20th Aug, 2014(=2014-08-20):英国式 略式

この他、週表記や干支、二十四節気など様々なフォーマットがある。

カレンダー

もっともポピュラーな時間整理ツール。さまざまなスケールがあり、年表から秒刻みまで幅広い。


編年体

歴史の記述法の一つで、起こった出来事を年代順に記してゆく方法。


Category

Categoryは、SP-LATCH法の第六整理要素。

カテゴリー・分野。意味グループでの情報整理法のこと。序列を持たない。

品物の分類に便利な方法だ。商店などでは、通常、品物を分野ごとに分けている。たとえば、台所用品売り場、衣料品売り場といった具合だ。分野で分類しやすいのは、モデルやタイプや、Q&A形式の会社案内に見られるような疑問ごとのグループなどだ。この様な分野は、同程度の重要性を持つものを分類するのに適している。分野で分類した項目は、数字を振るより、色を使って色分けしてやると、高い効果が得られる。

「同程度の重要性を持つものを分類するのに適している」と、ワーマンは言っている(少なくとも日本語訳では)が、重要性ではなく同じ意味レベル(レイヤー)を持つものを分類するのに適している。たとえば(作為的でなければ)「石鯛」と「哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類」は区分の視点の一貫性の観点から同列に扱うことはない。

意味の階層の分だけ、子階層を設定することができる。例えば生物分類では、以下のような多重階層がある。

  1. 界 : 動物界 Animalia
  2. 門 : 脊索動物門 Chordata
  3. 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
  4. 綱 : 哺乳綱 Mammalia
  5. 亜綱 : 獣亜綱 Theria
  6. 目 : 偶蹄目 Artiodactyla
  7. 亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
  8. 科 : シカ科 Cervidae
  9. 亜科 : シラオジカ亜科 Odocoileinae
  10. 属 : ヘラジカ属 Alces

引用で示されているとおり、序列の概念が無いため、色や形やその他のメタファーなどによるフラットなグルーピングが行われる。各項目に前後関係はなく意味として独立している。もし文脈としてその順序が必要な場合はStoryを適用するべきである。

多重階層の作りやすさ、各項目に独立性がある点などから非情報的な「物質的なモノ」を陳列する際には重宝する。図書館のデューイ十進分類法は、「本」という物質的な情報のカタマリを陳列するために発展している。

序列の概念を持たないため、並べる際には序列を持つ整理要素(TimeやLocationやStory)と組み合わせるか、ランダム、自由配列などの「並び順」を選択する必要がある。

代表的な媒体

コンビニやスーパーの棚、Webサイトのグローバルナビゲーション、図書館の本棚。


Hierarchy

Hierarchyは、SP-LATCH法の第七整理要素。

ある決まった並びに従って物事を整理する方法。人気順、型番、量の大小、長さの長短、連続量など。

大小、安い高い、重要性の序列など、程度によって分類する方法。対象となる情報の価値や重要度を明確にしたいときに便利だ。(中略)分野別の分類とは違い、数値や単位によって程度の大小をはっきりと示すことができる。

Alphabet、Time、Storyは、Hierarchyの特殊事例である。

序列を持つため、ソートの軸になる。

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代表的な媒体

人気ランキング→少年ジャンプの掲載順、長者番付、身長順。(Alphabet、Time、Story以外の序列すべて)

チートチャート

タイプ意味序列
Story(ストーリー)文脈・ストーリーライン・章立て
People(ピープル)人・人物・人格×
Location(ロケーション)場所・位置・座標・位置×
Alphabet(アルファベット)アルファベット・五十音順・数字
Time(タイム)日時・時間・時系列・タイムライン
Category(カテゴリー)カテゴリー・既存の分類体系(生物の分類額など)×
Hierarchy(ヒエラルキー)連続量・ランキングなど


関連項目

参考