情報設計の限界 - Labs : IA wiki

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情報設計には、3つの限界が存在する。

複雑性保存の法則

複雑性保存の法則とは、あらゆるプロセスには本来備わっている複雑性があり、「臨界点」以降はその複雑性(の場所)は簡略化できず、移動のみ可能というもの。(テスラーの複雑性保存の法則。「インタラクションデザインの教科書」の68ページより)

(臨界点とは、プロセスにおける手続きや作業などを、それ以上単純化できない点。)

かみ砕くと「どんなに合理的に設計されたシステムでも、誰かが頑張らなければならない部分が必ず残る。」ということ。たとえば個人情報のデータベースを作成しようとしたとき、そのデータベースは無から発生させるわけにはいかないので、ユーザーに入力させる必要がある。その負荷を軽減させるべく、どこか別のサービスから引用するなどの方法をとったとして、その引用元では、やはりだれかが必ず1回は個人情報を入力しているのである。

この概念で大切なのは「代案」を常に持つことの大切さである。Webにおいては、ユーザーの負荷にするか、フロントエンドでJavaScriptで解決するか、バックエンドで演算するか、もっとアナログな方法で回避するか、など。さまざまな問題解決方法を多重で用意しておくことができるのが良い設計者である。


ところで、複雑性が保存される現象はインタラクションデザインの中で頻繁に遭遇する。

たとえば、電話番号の入力フォームに「全角禁止」の制約がついていることがある。(おそらくDBに格納したあとに検索やソートを行いやすくするためであろう)ユーザー側で入力する値を整えるという意図であり設計だ。

逆に「全角でも半角でもなんでもOK!」という懐の深いシステムの場合、「全角→半角」置換処理を担当するのはサーバサイドのプログラムである。この設計は、前者に比べてユーザー負荷が激減する。

  1. 前者の「ユーザが半角で電話番号を入力する」と
  2. 後者の「プログラムで全角→半角に変換する」では、

「半角にする」という複雑性を担っている人(もの)が違う点に注意したい。

最終的には上記の2つは等価の結果を得ることができるが、ルール化できる手順はコンピュータに任せた方が、処理速度・正確性など(ユーザ、システム全体を含めたもの)の点から合理的でミスが少なく、なにより使いやすい。

複雑性をユーザー側に押し付けてはダメ

上記の例のように、インタラクションデザインにおいては、ユーザに以下のような手続きや作業を割り当てないことが大切である。

  1. システム側のルールに則った作業:手順の固定、入力制限など。「半角でなければ受け付けない」というのは、システム側のエゴである。
  2. 自動化が可能な作業:ある程度一般化された作業。郵便番号から住所の自動入力など。
  3. ルーチンワーク:同じことを何度も繰り返す作業。何度も住所や名前の入力をするなら、Cookieやログインなどで繰り返しを回避させるべき。

ユーザーには必要最低限でシンプルな操作・作業のみを割り当てよう。

情報伝達の不完全性

「ある情報源からある受信者に向けて発信された情報は、完全な状態では伝達されない。」

造語である。

どんなに情報伝達の技術が発展しても、どんなに熟達したコピーライターでも、また、たとえデジタルデータでも、発信者と受信者の持つ理解・認識は完全一致することはない。ということ。

情報とは、人が伝達に使用する形態であり、データや知識の状態では伝達は行わない。(という定義である。情報の形態を参照。)

情報は伝達する際に必ず劣化する。100%の状態で、ある人からある人へとへの伝達は行われない。それは、ノイズであり、ロスであり、誤解であり、曲解である。

デジタルデータなら劣化しないか?

データという形態では劣化しない(しにくい)が、そのデータを人が理解するために読む・見るした(データを情報化した)タイミングで、劣化が起こるので、やはり情報伝達は不完全性を持つ。

分類の不可能性

「ある総体を万人が納得するように厳密に分類することは、不可能である。」(造語)

情報は、人の考える以上に柔軟で、境目がなく、複雑で、カオスで、移ろい易く、曖昧だ。


分類とは「情報をある尺度で区分けする」ことであり、その尺度自体も時代・時期、地域・文化、文脈、感情などの影響を受けるため、万人が納得する分類は、残念ながら存在しない。所変われば品変わるである。


設計者は、この悲しい原理を受け入れ、設計対象がどのようなユーザーをターゲットにしているかを分析し、近似値を考え出すことが必要である。しかもこの設計も分類元の情報総体が変わったり、ターゲットユーザーが代わったり、時期や時代が変われば簡単に変わるはずであり、分類体系を見直すタイミングは必ずくる。


しかし、いろいろな事情で分類体系を変えることが出来ないことも多々ある。「生物の分類学(Category:分類学)」や「デューイ十進分類法(図書分類法)」などは、一般的に浸透しすぎておいそれと分類体系を変えられなくなった例である。

関連項目

参考